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私のカツラの最期「さらばカツラ」

彼女へのプロポーズも無事に終わり、結婚準備を進める中、新居も決まった。
といっても、当分は賃貸マンション住まいになる。当然、荷物はできるだけ少なくして、新居に入る必要がある。

荷造りをする中で、アートネイチャーで最後に髪を切ってもらった時に渡されて持ち帰ったカツラ(専門用語でいうところの「製品」)が出てきた。

製品(カツラ)について

グレーの紙袋(中は全く見えない)に入っており、透明なプラスチックの丸い台に乗せられている。

もちろん、名前は書かれていないが、シリアル番号が縫い付けてある。これも一種の個人情報だから、万一、アートネイチャーの情報が外部に流出すれば、誰が着用していた製品か特定できてしまうはずだ。

情報流出がなかったとしても、新居に越した後、こんなものが見つかれば、一挙に、新婚生活は冷え冷えとしたものになるだろう。


カツラの捨て方と価格・デメリット

私は、製品を燃えるゴミの日に、グレーの紙袋に入ったまま、他のゴミと一緒に捨てることにした(念には念を入れて、シリアル番号ははがした)。

何百万円もかけて作った製品だけに、捨てることはややためらわれたのだが、他に使い途がない。
まだ使えるとはいえ、毛量と髪のボリュームが戻った自分には必要がないし、着用すれば、むれたり頭皮にストレスがかかったりして、せっかく絶好調な状態にある頭皮に悪影響があるかもしれない。

一瞬、金髪に染めて、忘年会などでかぶって芸を披露しようとも考えたが、ここまで精巧に作られた製品では、同僚たちから奇異な目で見られかねない(忘年会グッズのカツラはせいぜい1個数千円だが、アートネイチャーの製品は1個40万円から50万円であり、当然、精巧さも段違いである。「どこで買ったの?」などと質問されたら、答えに窮する)。

やはり、捨てるのが一番よい。


ゴミ出しの日の朝。
ふと、文豪ヘミングウェイの『武器よさらば』の言葉が思い出されたので、「カツラよさらば」と心の中で別れを告げて、ゴミ袋に入れて外に出した。複雑な感情が去来した。

長年、文字通り“体の一部"だったわけであり、毎朝着用する際にかすかに香るゴム臭まで覚えている。

同時に、“金食い虫"であり、静電気や水、風や衝撃に弱く、日常生活に不便を生じさせた。
とはいえ、私にはもう不要な物なのだ。できれば老後も、不要であってほしい。


アートネイチャーの技術

アートネイチャーの説明や新聞報道によれば、自毛をクローンで増やす技術は実用化まであと一歩の段階まできており、マウスなどの動物実験ではすでに成功しているという。

ひょっとしたら、そうした新技術により、一般社会からカツラがなくなる日が、近づいてきているのかもしれない。


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